札幌高等裁判所 昭和25年(う)695号 判決
刑事訴訟法第三百二十一号第一項第二号に依ると供述者が公判期日において前の供述と相反する供述をしたということで検察官作成の供述録取調書の証拠能力を認めるには前の供述を信用すべき特別の情況の存することを要件としていることは所論のとおりである。しかしてこの要件の存否はもとより客観的に認め得られねばならないのであるが、客観的事情を認めた場合其の供述録取調書の証拠能力を認めることは当然であるから更にこの点に関する証拠説明を判決においてなすの必要はないのである。しかして原審の取調べた証拠及び調書自体に徴し前記弁護人指摘の工藤猛志の原審公判廷における原判示に添はない供述部分に比し同人に対する検察官の第一回及び第二回供述調書には客観的な信用すべき特別の情況が十分認められるのであるから原審が前記調書を右の特別情況の証拠説明をなすことなく証拠として引用した措置は正当であり論旨は採用に値しない。